ダブルクロッシングとポイントの自作        TOPページへ 

  

 今回アイデアを温めていたのはクロッシングとポイントを基板上に作るという事です。テストして
 いなかったので、ぶっつけ本番です。これは枕木の厚さを測った時に思い付きました。枕木が
 1,5mmでした。通常の基板が1,6mmというのが頭に入ってましたので、12mmのポイント
 で切り出した基板の枕木を思い出したのです。油性マジックでレールの位置を描きます。そして
 モーターツールで絶縁部分のエッチングを剥がします。カッターで切って剥がしたい部分を半田
 コテで擦っても綺麗に剥がせます。溶剤を使ってエッチングするまでもないでしょう。

 

 切り出し加工した部材を半田付けしていきます。半田が流れすぎないように気をつけます。毎回
 テスターで隣と絶縁されているかを確認します。絶縁には0,1mm厚のプラ板を挟んでいます。
 台車で通過テストもします。もし架線集電専用にするのでしたら、こうした絶縁などは必要ないの
 で作業はもっと簡単でレールのギャップも狭く実感的に作れます。

 

 路面電車のポイントは、普通の鉄道のポイントとは形状も違っています。護輪軌条が主レールに
 沿っていて、先端軌条の収まる部分が削られているのではなく、形状として引っ込んでいます。写
 真のポイントはちょっとオーバースケールになりました。実物の先端軌条の間接部分は丸くなって
 一体鋳造なのですが、その表現は割愛しました。0,5mm真鍮線を付けて差し込んでいます。

 

 もうひとつのポイントはスプリングポイントです。直線側が定位です。赤い線の0,3mm洋白棒で
 先端軌条に力を加えています。洋白棒は根元だけを半田付けしています。瑞穂電気軌道の記事
 でも実物も、先端軌条が片側だけの分岐は、曲線側に設けていますが、私は模型の遠心力とか
 重心移動を考えて直線側にしましたが、もしかしたら曲線側というのには理由があるのかもしれま
 せん。手持ちの資料では分かりませんでした。

 

 護輪軌条を半田付けして、ほぼ完成したポイントです。コードを回して必要なセクションに給電する
 ように配線します。クロッシングの絶縁の幅がマチマチなのは、車両通過テストの為です。最後に
 基板が腐食しないように塗装しておきます。(タミヤ・エナメルのアースカラーXF−52)

  

 掲示板の仲間の「やまぎし」さんが撮ってくれた分岐の写真です。上に書いた先端軌条が一本の
 分岐の場合、曲線側に設けるのは何故という疑問に、専門家の方が答えてくださいました。私の
 書いた遠心力というのは合っているのですが、それを押さえ込む方法が違っていました。JRなど
 の曲線は、遠心力で外側に押し出す力でゲージが狂って脱線しないように、円の内側にガードレ
 ールを設置します。それと同じ理屈で曲線の内側にガードレール、護輪軌条及び先端軌条を置く
 方が脱線しづらいというのです。

  

 やまぎしさんの写真を参考に作ってみた分岐です。片渡りの上りが一本タイプで下り側が通常の
 2本タイプです。確かに本物を参考にして作ったものは、急曲線にも関わらずスムースな通過を
 しました。護輪軌条(ガードレール)は必要最小限がコツのようです。多くなれば(特に両側)車輪
 の回転の抵抗が増えていくという事です。アップ写真は先端軌条の関節部分に3mm真鍮丸棒
 を半田付けして本物と同じように作ったものです。護輪軌条側を丸くヤスって落とし込んでいます。
 この関節の丸棒の下に、りん青銅線0,4mmを直角に付け、裏側で曲げ、スプリングを効かせて
 います。下図を参考にしてください。この方法はスプリングポイントの強弱を調整したり、優先する
 方向も変える事が出来ます。

  
  

 スプリングポイントがうまく動作すれば、組み合わせで複雑な運転もポイント操作なしで楽しめま
 す。レイアウト作りでポイントマシンがないというのは配線も含め、かなり楽になります。燐青銅線
 の長さは30mm〜位が具合がいいようです。(50mmがベストでした)

 

 片渡りポイント2種です。左を最初に作ったものです。2度目に作った右側は少し余裕があります。
 どちらも曲線150Rです。違いは、それぞれのポイントの先端軌条の間の寸法です。左が150m
 mで右が200mmです。同じRでもこんなに雰囲気の違うポイントになります。

       

 エッチング基板の腐食止めに塗料を塗って完成です。最後に車両の通過テストをしました。うまく
 通るので嬉しくなってしまいました。