架線集電のABC



 

 架線柱は真鍮3mm丸棒です。鉄棒を使う方が丈夫だと思うのですが、色々なテストで真鍮でも
 充分にテンションに耐えられると分かりました。都電はクロススパン型なので柱も外側に斜めに
 なりますから、更に有利です。レール踏面からスパンワイヤーまでの高さを65mmにしています。
 土台の合板が9mmですから、架線柱の短いタイプは80mm、長いものは90mmとし、ネジ止め
 ではなく、エポキシなどでの接着にしました。真鍮丸棒は黒染めしてあります。スパンワイヤーを
 片側から留めます。二重巻きにして手前で捻ります。もう片方を留める前に碍子に見立てた白ビ
 ーズを5個通します。

 

 スパンワイヤーや碍子は写真のものを使います。右の写真は留め方です。二重巻きで捻ってい
 ます。写真のカラーワイヤーは通電しますが、中にはコーティングされているものがあるので気を
 つけます。剥がすのは結構、大変ですから。

 

 碍子が目立ちます。左はRM LIBRARY「東京都電6000形」の諸河さんの写真(昭和40年)。
 ハンガーがU字です。右はイカロス出版「東京都電」楠居さんの写真(昭和42年)。こちらのハン
 ガーを擬似的に表現しようと思っています。

 

 汽笛工房のビューゲルを組み込んだMODEMOの6000形で、ハンガーを持ち上げてみます。
 これでスパンワイヤーが持ち上がらなければいいのです。もし緩い場合は、右の写真のように
 真鍮棒(0,4mm)などで捻ってテンションを稼ぎます。半田を盛ると碍子に見えなくもないので
 その辺の位置にするといいかもしれません。ビューゲルの架線への圧力は、NMRA規格で最小
 5,67g、最大8,5gとなっています。機芸出版の「トラクションブック」トロリーラインのABCによ
 れば、1円玉が1g、5円玉が3,7g、10円玉が4,5gとあるので、それで具合を見るのも手でし
 ょう。ここの工作をきちんとしておくようにします。架線張りは夏場がベストですね。

■架線張りの順序

 @架線柱を両側に立て、スパンワイヤーを片方留めて、ワイヤーにビーズ(碍子)を通し、ピンと
   張りながら、もう片方を留める。
 A割りピンをレールのセンター位置上に、かしめ玉を通し足を広げて半田付けする。
 B架線のスタート地点に仮の柱を立てて、そこからピンと張った架線を順番に半田付けしていく。

 直線では比較的簡単に張ることが出来る架線です
 が、これが曲線になると、少し面倒になります。
 左図をご覧下さい。架線はきれいな曲線で曲げる事
 が出来ませんから、外側に引っ張って、ビューゲル
 などが外れず、集電出来るようにしなくてはなりませ
 ん。そこで曲線部分は、架線柱の外側にワイヤーを
 張り、そこからワイヤーで外側に引っ張ります。外側
 のワイヤーはメッセンジャーといい、引っ張るのは文
 字通りプルオフと呼びます。メッセンジャーは最初と
 最後以外は柱に巻きつけません。テンションを同じ
 にする為です。柱の間隔は、直線で長い車両と同じ
 位(6000形で150mm)です。曲線は30%増しと
 しました。図でメッセンジャーは外側だけですが、内
 側も張ると作業が楽になります。つまり、外側は決し
 て省略できないということです。

 

 ガード下はME社のCODE40を貼り付けています。取り付け金具は帯板で製作し、途中はビーズ
 の碍子を挟んでいます。右は専用軌道の架線柱、色々なタイプがあるのですが、しっかりした構造
 という面から、真鍮丸棒の柱に古レールを半田付けしました。

    

 架線の張り始めです。メッセンジャーとプルオフの関係が分かるでしょうか。

 

 架線はレールの上から下へと回り込みます。左から来たビューゲルが架線からレールにスムー
 スに移行できます。右の写真が複線を張り終えた状態です。曲線にプルオフで沿わせています。
 あまり、良く見えませんが、これは何度もしつこいくらい説明します。

  

 よく「ビューゲルの方向切り替えをモーターで制御するの」と質問され、どうしようかと悩んでいまし
 たが、実際にテスト走行して、その心配は危惧に終わりました。写真のように左に走っていた車
 両を停めて、右に切り替えると、架線が持ち上がってビューゲルが向きを変えます。

 

 

 途中の架線の留め方です。最初の作業も同じですが、柱と柱にスパンワイヤーを張ったら、割り
 ピンを入れ、かしめ玉を通し、足を広げ任意の長さに切り、スパンワイヤーに半田付けします。架
 線を半田付けして出来上がりです。

 

 曲線部分もただ作業するのみです。テンションとか留め方は、案ずるよりも生むが易しです。思っ
 ているより簡単です。張り巡らされた架線を擦りながら都電が駆け抜けるのを見ると、疲れが吹
 っ飛びますよ。シュルシュルという音と、本当に架線から集電している様を見るのは、最高に楽し
 いひと時です。。