機関庫のある風景 製作記事−1

               ●セクション1 機関庫のある風景(アイデアスケッチ)

    

 今まで作ったクラブモジュールなどは、どうしても他との接続を考え、線路配置が直線的になってしまい
 ました。それと違って、これは自分だけのプランですから斜めにするなどセクションレイアウトの長所を
 生かした線路配置をしたいと思います。

 

 アイデアスケッチを元に線路配置をまとめます。道床は3mm厚コルクです。実際に配置して
 みてポイントの位置などを決めます。1番線から機関庫に分かれるポイントはスケッチでは
 右ポイントですが、左の方が収まりが良く、次のポイントも左だったのを右にしました。機関
 庫前は北海道に多いY字ポイントです。ポイントは全て#6です。この作業はとても大事で
 す。これによってスムースに走る、見映えなどが決まってしまうからです。配置が決まったら
 ストラクチャーを先に作ります。

 ■詰所の製作

 

 詰所は以前から貯め込んだ図面を元に、2mmと1mm角材で形にします。実際の建物に
 準じていますが、あくまで模型的な構造です。いつも市販の建築模型用の下見板を使うの
 ですが、今回は1mmバルサに精密マイナスドライバーで斜めに筋をつけた板を使う事に
 しました。アナログ的な味わいと薄さと経済的が利点です。大変そうですが、やってみると
 意外に簡単です。バルサは柔らかく加工しやすいからです。それだけに強くしすぎると変
 形します。柱に貼り付けるので少しくらいは修正がききます。

 

 壁面と補強の柱や桟を追加したら着色します。これは自分のいつもの方法なのですが。筆
 洗いして汚れてしまったエナメル溶剤を塗ります。色々な色が混じると黒に近くなるのです
 が、微妙な色合いで風化した建物の表現に向いているからです。それで接着剤は、いつも
 ゼリー状瞬着を使います。水性の木工ボンドだと、溶剤を塗るとバラバラになります。瞬着
 は、ハミ出さないようにします。その部分が着色されませんから。 

 

 前もって着色(木甲板色TS−68)したエッチングの扉や窓にセルを貼りはめこみます。同
 時にトタンの筋彫りした庇を付けます。屋根も貼り煙突(2,1mmパイプ)を付けます。屋根
 にはシルバーグレー(Mrカラー・シンナー系)を塗り、溝にエナメルのジャーマングレーを薄
 めたものを流し込みます。最後にホビーカラーのウエザリング用のススや錆を付けて完成
 です。今回はエコーの雨どい(No.228)も付けました。色はMr.カラーのダークシーグレ
 ー(25)です。シンナー系>エナメル系>水性の順番で作業することで色が混じりません。
 入り口のコンクリは荒くしたバルサでデッキタンを塗っています。照明を入れる場合は内側
 の壁に光が漏れないように濃い目の茶系を塗っておきます。屋根の角材は雪が落ちない
 ようにするもので北国の公共施設に多いタイプです。一般家屋では富士山の形をしたパー
 ツがトタン屋根の間にいくつも付いています。建物の裏側に人が行かない設定なので反対
 の屋根には付けませんでした。

 ■給水塔の製作

 給水塔をどんなデザインにするか悩みました。上芦別にあったようなコンクリート柱か、アメリ
 カンな樽式か、寿都のような建物の付随・・・・結局、何度も作っている「ストラクチャーモデリ
 ング」(機芸出版)平田克良氏の池北線置戸駅にあったタイプにしました。このデザインがと
 ても好きなのが理由です。そうでなければ何度も作りませんよね(笑)。

 

 ポスターなどを入れる筒を輪切りにします。同じ高さに切るには任意の幅のマスキングテー
 プを貼るとうまく切れます。周囲にアート紙にリベットを打った紙を貼り、更にエッチングの帯
 を上下に貼ります。屋根はマスキングテープなどで表現しました。理由はポンプ小屋と同じ
 です。↓

 

 下の塔を作ります。写真では平行に見えますが、裾広がりです。窓が小さすぎました。修正
 します。きれいな六角形にするにはガイドの図面上で組みます。スポートはキットのエッチン
 グの切れ端の真鍮板を火で炙り、なましてから円錐状にして半田付けしました。上下を合体
 させて、滑車などを取り付け精密チェーンで吊ります。

 

 窓や梯子を付けて着色します。真ん中を貫いているのは煙突です。ご存知だと思うのです
 が、北海道の給水塔は密閉で中に凍結防止のストーブがあります。ポンプ小屋は1,5mm
 の角材で形を作り、シュウマイ弁当のフタを切って貼りました。モデルは上芦別のものです。
 屋根は想像ですが、コールタールのシートを貼っていると思い、そういう表現をしました。建
 築現場で屋根裏に雨漏りしないように貼るのを見たことがありませんか。あれです。東京で
 見たことがないので北国だけなのかもしれません。

 ■機関庫の製作

 

 機関庫は図面を基に屋根の骨組みから作ります。100円ショップで買った台に図を書き写し
 その上でカットして組みます。2×2mmと2×1mmの角材です。写真は機関庫の入り口で
 す。下の柱部分まで作っていきます。形にしたいのを我慢して、じっくりと4面の壁から作って
 いきます。他の屋根の骨組み部材を切り出しておきます。組み立ては現物合わせです。

 

 上の詰所と同じく1mm厚バルサに下見板の表現をして貼り付けます。上には換気のルーバ
 ーを付け、機関庫の扉をシュウマイ弁当のフタを2mm幅に切って組みました。今まで色々な
 方法で作ってきたのですが、これが一番実感的な感じがします。下が作り方です。

 

 

 シュウマイ弁当のフタのいい所は、安いという以外に薄くて固いというとこです。欠点は木
 目方向に割れやすいので木目の切る方向によっては平行に綺麗に切り出せません。数
 回くらい失敗して切ってみればコツが掴めると思います。切り出した板を写真のように斜
 めの板を補強しながら作っていきます。裏には更に斜めの補強材が入ります。最後にサ
 ンドペーパー(#300くらい)の上で横の部分を擦って仕上げます。形を取る冶具は、入り
 口部分を切り出した板を使えば間違いない形になります。それだけに扉の場所が決まっ
 ています。

 

 蝶番(ヒンジ)は色々な方法があるのですが、図のように帯板と真鍮線で簡単に作りまし
 た。扉を開いて持ち上げれば外れる構造です。ただ洋白板の柱に回りこむ方を計算違い
 で長くなり、写真のように表に飛び出してしまいました。帯板は真鍮線を挟みながら丸め
 るといい具合に出来ます。ベストではないので一つの方法くらいに思ってください。

 

 前後の壁が出来ました。側面を作っていきます。窓は手持ちのエコーのプリントされた機関
 庫用を貼り、窓枠を1mm角材、0,5mmプラ角材で作っていきます。そのままでもいいの
 ですが、他とのバランスを考えると立体にしたいと思いました。写真のプラ角材は未塗装で
 すが、塗装してから貼った方が綺麗にできます。窓枠と内装のベースカラーはフラットアー
 ス(XF−52)です。機関庫扉も薄めたフラットアースです。

 

 4面の壁が出来たら組み合わせます。ドキドキする瞬間です。面が合ったら切り出してあっ
 た屋根の骨組みパーツを接着していきます。組み立てるごとに柔だったものが丈夫になっ
 ていきます。普通、こういう構造の建物は屋根を取り外し式にするのですが、機関庫扉を
 開けた時、チラッと見える骨組みがカッコいいと思うので敢えて、そのまま組んでいます。
 煙出し部分も組んで屋根に合わせました。

 

 機関庫らしい煙突を作ります。パイプは真鍮線なんかが入っていた8mmの筒です。それ
 にプリントアウトしたフードを付けます。笠もペーパーでと思っていたのですが、以前の作っ
 た機関庫は、この部分が最初に破損したので真鍮で作りました。屋根に被せるトタン板も
 通しておきます。

 

 所定の位置に取り付けた状態です。普通は屋根が付いてから煙突ですが、今回は波トタン
 の屋根で後で貼り合わせるので、こういう状態にしました。波トタンの前に照明の配線を済
 ませます。米粒球が適所ですが、屋根を貼り付けてしまうので、球切れなどで交換が必要
 ないLED(黄)に笠をかけました。小さなLEDより安価な3mmの普通のLEDを使いました。

 

 使用したLEDの定格です。12Vで点灯させる為に必要な抵抗の話は別にして、並列、アノ
 ードはアノード同士で接続しています。屋根裏に碍子を付けて電線を這わせ、外に出す、実
 物と同じ構造配線しました。

 

 屋根の梁を付けます。これも模型的な意味での梁です。実物は更に細かな数が張ってあり
 ます。それにクリアボンドでアルミフォイルで作った波板を貼りました。キャンベル製やエコー
 製がありますが、ヨレヨレ感が欲しくて取った方法です。丁寧に作ってもご覧のような雰囲気
 になるのがアルミフォイルの波板の特徴です。

 

 屋根に艶消しスプレーを吹いて、ホビーカラーのサビ色(H344)をサビを屋根に流すように
 して、赤茶のパステル粉を全体にまぶしました。油やススも表現しておきます。機関庫の中
 は、線路間に点検用ピットを作り、車止めのヤグラを組んでいます。レールの部分には3mm
 幅に切ったプリント基板を貼って、レールを半田付けしています。給電用の線も、ここから地
 下に入っています。
        
                       ■ほぼ完成した機関庫

        TOPページへ戻る     機関庫のある風景−2へ