■ハンドレイについて
ハンドレイHand Laidは米国で発展したレールの敷設方法です。LaidはLay(置く、並べ
る)の過去分詞です。ハンドスパイクが「手打ち」ならハンドレイは「手並べ」とでも言いましょ
うか・・・PCボードというプリント基板を枕木の大きさに切って、等間隔で並べ、半田付けして
ゲージを作る方法です。ハンドスパイクに比べ、簡単で工期を短く出来ます。ゲージも半田ご
てで簡単に直せます。言い事尽くめのようですが、レールをハンダで固定してしまうので、レ
ールの収縮を吸収できない欠点がありますから、工夫も必要です。CODE番号の大きいレ
ールではほとんど問題がないようです。
美幌別ではハンドレイでレール敷設を行います。思っている以上に早く出来るので、レール
のデテールにこだわってみたいと思います。
●実物の枕木寸法
並枕木 長さ2100×幅(200〜230)×高さ140mm
橋枕木 長さ(2100〜3000)×幅200×高さ(180〜200)mm
▲かけ継ぎ法(国鉄、JRなど) ▲2本継目法
レールの接続部分の枕木が狭くなっている表現をしたいと思います。継目板も含め、その表
現までするとなると、何メートルレール使用かという設定もしなくてはいけません。枕木は左
のかけ継ぎ法が日本では一般的ですから、こちらを採用します。枕木間隔は、Aが6cm、B
を4cmとします。国鉄、大手私鉄は25mレール(定尺)使用が多く、地方私鉄は、ほとんどが
12mです。35kg、50kgに関わらず、値段が半分というのが理由です。
PC Board & Wood Ties Lazy Jack 継目板
■PCボードとウッドタイを入手する→Fast Tracks
■継目板の入手先 Lazy Jack
基板とバスウッドの枕木は英語でPC Board・PCボードとWood Ties・ウッドタイとそれぞれ呼
びますので、混乱しないように、この英語の単語を使います。入手しようとするする時、Cross
Ties・クロスタイ(30mm)とTurnout Ties・ターンナウトタイ(56mm)があります。PCボード
のターンナウトタイは91,5mm長です。2100(25)mmの枕木やポイントなどを考えるとタ
ーンナウトタイの方が汎用性がありますが、どちらも入手するという手もあります。
入手したPCボードを25mmに切り、センターの位置に左右絶縁の為に基板を剥がします。
枕木センターにカッターで筋を入れ、半田ごてを当てていると剥がれます。それと写真のモー
ターツールに付けたダイヤモンドチップ付き円盤でカット&削りを行います。数が多いので糸鋸
&ヤスリでは大変です。
今回はLazy Jackの継目板を使おうと思っています。継目板は2種類がワンセットになってい
ます。ボルトの頭が端にあるものとセンター2箇所にあるものです。レールの内側にボルトの
頭が端にあるタイプを使い、外側にもう一方を使います。切欠があり、そこに犬釘が入るので
すが、その位置に一致させない事も多いようです。最初12mレールの設定を考えていたので
すが、模型換算で14cmごとに、決して安くない継目板を使うのは躊躇われ、国鉄払い下げの
定尺(25m模型換算29cm)を使用したという設定に急遽、変更しました(笑)
■レールのこと
鉄道模型をしている皆さんはご存知だと思うのですが、僕は基本知識がなく。レールの事は
先輩に質問して覚えました。更に原稿を書くにあたって間違いがないように専門書で勉強した
レールについて書き記しておきます。
「レールの種類は1mあたりの重さで表され、60kg、50kg、40kg、37kg、30kgなどがあ
ある。新幹線などは60kg、在来線は50kgが多い。長さは25m(30kgレールは20m)で定
尺と呼ばれる。25m以下は短尺と呼ばれる。
CODE70は50kgレールに相当。50kgレールの高さ153mm(1/87=1,76mm)#70
は1,8mmです。
※失敗談・・・Wood Tiesを入手する時サイズは確認したのですが、厚さは同じだろうと思って そのまま注文を出しました。航空便で5日くらいで届いたのですが、厚さが違い ました。PCボードが1/16”、ウッドタイが7”、実測で1,6mmと2,1mm厚の 差があります。そのサイトには1/16”厚のウッドタイがない!インチに弱いから 気にしなかった事が仇になりました。工作用紙一枚の厚さの差なので何とか使 います。PCボードの方が貼り付ける数が少ないのが不幸中の幸い(笑)後日、 このメーカーから製作ビデオをもらい、ポイントの作り方を見たところ、枕木など 一体になったキットがある事が分かりました。冶具のいいものを作っています。 特にフログや先端軌条を削る為の番数に対応した冶具は是非、欲しいと思いま した。2,54・・・2,54・・・と覚えるぞ! |
■レール敷設の実際
モジュールの端はIMONレールを切ったものを接続レールにしています。ハンドレイのレール
敷設自体はとても簡単です。ハンドスパイクの1/3くらいの速さで作業がすすみます。それだ
けに色々と他の事をしたくなるのかもしれません。大きなレイアウトには有効な方法だと思い
ます。PCボードは5〜8本間隔で並べます。接着は枕木がレールの収縮を少しでも出来る
ゴム系ボンドがいいと思います。コルクを貼るのも同様の理由です。
レール敷設の方法を書きます。PCボードとウッドタイの枕木を並べたら片側のレールを上記
した5,2mmの位置に半田付けします。#70のレールの幅が1,8mmで枕木が25mmか
ら算出しての話です。もう片方はゲージ(写真は自作で曲線用)を滑らせながら半田付けす
れば完成です。犬釘の表現などを考えなければこれだけです。レールの接続は2本をPCボ
ード上で半田付けすれば済みます。
■継目板の工作
継目部分はダミーです。レールに丸ノコで切れ目を入れ、継目板を付けます。犬釘ですが
LazyJack製は洋白で、黒い方はME社のマイクロスパイクの頭を小さくしたものです。前
者は小さすぎて目立たず苦労が報われない感じですし、後者は大きすぎて目立ちすぎとい
う一長一短な感じです。全ての枕木に付けることを考えると、作業が簡単な後者を優先し
そうです。犬釘は、ハンドスパイクと違ってレールをとめる役割ではありませんが、ズレを
防いでくれますし、精密感が増します。
マイクロスパイクを使う場合でも、そのままでは頭が大きすぎて興ざめしますから、面倒で
も頭をニッパーで切って小さくします。左が切ったもの右がオリジナルです。ここで笑い話
をひとつ。スパイク作業を終え、左右のレールにテスターを当てるとショートしています。PC
ボードの絶縁が不十分かと思い、色々やってみてもショートは直りません。少しして笑い出
してしまいました。スパイクがPCボードを貫通して下のエッチング部分を繋いでいたのです。
このPCボードは両面基板でした。30分くらいの格闘の末でした。
左の写真は小湊鉄道の線路周りです。写真を参考にしながら着色します。枕木はMrホビ
ーのマホガニー(42)とウッドブラウン(43)を混ぜたものです。レールはハンブロールの
No,62とNo,63を使いました。サビがない部分にはMrホビーの黒鉄色(28)です。バラ
ストはウッドランドシーニックス社のミディアムサイズのパフです。枕木にタンやパフの色を
もっと乗せます。
お恥ずかしい話ですが、犬釘を外側と内側が斜めに打つというのを知りませんでした。確
かに本物の鉄道レールを見ると斜めになっています。両方でカタカナのハの字になるよう
に打ちます。このページの上にある図をご覧になれば更に分かりやすいです。ハの字の
向きは決まりがないようですが、起点>>>>>終点という感じにしました。小湊鉄道も
そうなっていました。
■ハンドレイのポイント製作(自己流ポイント製作の詳細)
ファーストトラックス社のテンプレートをダウンロードして手を加えたものです。HOn3用の
ポイントキットも同社にあるのですが、HOn3はナロー扱いらしく枕木があっち向いてホイ
状態(かなりヒドイ)なので、几帳面な国民性の日本の鉄道にはとても使えそうにありませ
んでした。継目の枕木間隔を直したテンプレートをプリントアウトします。
プリントアウトしたテンプレートを直に合成ゴム系接着剤で所定の位置に貼ります。その上
にPCボード(+0,5mm)とウッドタイを切り出して貼ります。貼り終えたらセンターに絶縁
部分を設けます。
ポイントで最初に作る部分はクロッシングのフログです。絶縁部分は後でモーターツール
で切るので、ここでは一体で削ります。それが済んだら外側の主レールをゲージを取りな
がら付けます。トングレール(先端軌条)が入るところは削ります。最初にレールを置いて
マーカーで削る部分に印を付けます。
マーカーの印の間を万力に挟んで削ります。先端部分は踏面のフチのギリギリまでヤスり
ます。リードレール側は下の部分だけです。右の写真の赤線間が削った所です。
両側の主レールが付きました。フログ先端のゲージに気を付けます。それが済んだらウイ
ングレールです。折れ曲がる部分にマーカーで印を付け、曲がる内側に▲ヤスリで曲げ
やすいように切れ目を入れ、切って曲げて付けます。
ウイングレールの分岐側など車輪が入ってくる所は上から斜めにヤスっておき、軽く曲げ
ます。クロッシングの×のフランジウェイが一直線になっている事が重要です。フランジウ
ェイは0,9mmにしました。
ガードレールを付けます。ウイングレールと同じく斜めにヤスる加工をします。フランジウェ
イも同じ0,9mmです。これでテストに台車を通して引っ掛かる場合は、ゲージが違って
いますから確認します。右の写真はトングレールを削っているところです。
トングレールを薄く削っていると向こう側が透けてペラペラになる場合があります。そこは
カットします。写真の右側だけでなく左側もヤスリを入れることで、初めて薄く仕上がりま
す。レールの断面を考えると分かる事ですね。右の写真の赤線の部分はリードレールと
トングレールに分かれ、レールジョイナーなどで関節をつけるのが一般的ですが、ここで
は1本のままです。半田付けもウイングレール側の2箇所だけです。レールのしなりで吸
収する考えです。
トングレールが主レールにきれいに密着する事を確認します。トングレールの先端にPC
ボードを半田付けします。普通はハトメなどで可動にするものですが、ファーストトラックス
社では、PCボードに半田付けでした。強度に不安が残ります。取り敢えず試してみます。
ハンドレイでのポイント作りは苦痛ではありません。簡単で楽しいです。
■フログレールを簡単かつ正確に作る丸秘テクニック(大げさ)
上の図のようにフログレールのa:bが1:6になる場合に6番ポイントといいます。角度は
9°32’です。Y字でなければ直角三角形になります。2mmバルサを底辺6cm高さ1c
mの直角三角形に切り出します。両面テープを貼って万力に貼ります。ここにレールを置
いて、きつく締めます。#70レールの高さは1,7mmですから、バルサが潰れてレール
が動かなくなります。これを万力の上面に沿って削ればいいわけです。もうひとつのレー
ルは上下を逆にして削ります。2枚合わせる時はイラストのようにズラして作ります。本物
のように2枚合わせで作る場合は直角三角形の高さを5mmにします。これで4番でも8
番ポイントでも簡単に作れるようになります。
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■detailの誤表記(私も頻繁に間違えます)
tail(尾)が「テイル」もしくは「テール」と表記され、「ティール」とは表記、発音されない。
同様にdetailを「ディティール」と表記するのは誤表記と言っていい。模型や服飾の業
界にこの誤用が目立つ。