「世界遺産を作る・オーストリアの旅」1
         
(放送が終わって写真が解禁です)

    2008年2月、一本の電話が鳴りました。「シェフ、センメリング鉄道って知ってますか」
   「フランスに住んでた頃・・・」鉄道模型の本場は欧米だと思い込んでいたので、興味津
   々!電話の相手は鉄道模型ちゃんねる(BSジャパン)のスタッフでした。2007年11月
   に玉電モジュールでお世話になったのです。ああ〜節操なく、またまた首を突っ込んでし
   まいました。
    番組はオーストリアの世界遺産を模型で作る2時間スペシャルです。5月に現地を旅行
   して、帰ってきて2ヶ月(放送は8月と決まっていました)の間でレイアウトを作るのです。
   大変なのは火を見るよりも明らかでした。それなのに安請け合いしてしまって・・・


    

  2008年5月、成田空港に立っていました。オーストリアは18年ぶり!それにしても僕の性格
  なんとかならないものでしょうか・・・・

    

  こんなリアリティのない旅も久しぶりです。まるで実感が湧きません。オーストリア航空は初めて
  でしたが、なかなか気持ちいい空の旅でした。ウイーンに着くとサッカーのユーロ2008の垂れ
  幕があちらこちらに!この年は、スイス・オーストリア共同開催でした。

    

  現地コーディネーターと合流して南駅の前にあるホテルに到着。駅前の路面電車が気になります。

 

  南駅はかなり大きな駅ですが、夜はご覧のように閑散としています。時々やってくる路面電車の音
  が、やけに響きます。映画「第三の男」のテーマ曲が流れてきそう・・・

 

  時差ぼけというより、いつも世間と時間がズレているので、7時間遅れのこちらでは早起きになり
  ます。日も明けきらない内から散歩です。朝、ウイーンの皆さんは早くから動き出します。18年前
  に来た時と同じ路面電車に懐かしさが一杯!

     

  専用軌道を走って来た車両が駅前で他線と合流したりして、とにかく本数が多く賑やかです。なんか
  ワクワクしてきます。

 

 

  色んなタイプの車両がいます。朝ごはんをホテルで食べて、スタッフと撮影に向かうと雨が降って
  きました。こちらの人はあまり傘をさしませんね。

 

  南駅で撮影の許可をOBBから取ってホームへ。ご存知のようにヨーロッパには改札はありません。
  ホームまで入って、4124タイプのレールカー(連接電車)を撮影。このデザインは好きです。同じよ
  うなディーゼルカーもあります。近郊通勤型です。

 


  シティ・シャトルと呼ばれる2階建客車。先頭に機関車が見えます。一瞬、ディーゼルカーと勘違いして
  しまいそうなデザインです。名前からも分かるように近郊通勤型です。

 

  こちらのシティシャトルは、1階のみの普通タイプ。先頭にディーゼル機関車・ヘラクレスが連結され
  ていました。非電化区間用ですね。

 

  ディーゼル機関車・ヘラクレス!名前からしてパワフルです。電気機関車のタウルスと双璧です。

 

  小型(といっても大きい)のディーゼル機関車が入換えをしていました。Fleischmannのカタログに
  あったような・・・Rocoかな・・・


 

  客車と思いきやディーゼル客車です。番号が4桁は動力車のようです。客車は80−73のように
  ハイフンが入ります。朝は色々な車両が入ってきます。多くは通勤用です。

 

  ユーゴ方面から来たと思われる国際列車。降りてきた人達がトランク持ちで、ドイツ語やイタリア語
  ではなかったことからの推測です。1014は新しい電気機関車です。直線的なデザイン。

 

  レールカー4124が2両並んだのでパチリ!カッコいいなあ〜センメリングには入線しないようなの
  で、勾配区間には弱いということかな・・・

 

  撮影はこんな感じでしています。自分の出番がなくても基本的にカメラの傍を離れられません。
  画面に映ると困るのでなるべく後ろに居なくてはいけません。なのに僕はフラフラと動き回って
  いて怒られます(笑)言い訳ですが、なるべく地元のムードを吸収するのが、レイアウトの制作
  意欲につながるんですよ〜迷惑かけたな〜

 

  ウイーンの市街はずれにあるシェーンブルン宮殿。ここも呉尾さんが製作予定でした。あのスペー
  スにいくらなんでもと思っていたら・・・やはり中止。雨の中を観光です。

 

  とにかく大きいです。ハプスブルグ家の富と権力がいかに絶大だったかが分かります。

 

  宮殿に食傷気味になった頃、ウイーンの模型店に取材。とにかくNが高くてHOが安いんです。
  ここの社長のおじいちゃんは、筋金入りの鉄ちゃん。番組のスペシャル版で紹介されました。

    

  Nの在庫なんてこの程度です。そりゃHOをしますよね。同じ機関車がNもHOも値段が同じだった
  らね。それにHOも急曲線曲がれるし、スケールモデルへの考え方の違いです。日本ではなにも
  かも縮小したがるんですよね。分かるけど・・・街並みがパリっぽくて好きな一角。

 

  ウイーン旧市街の中心にあるシュテファン大聖堂。これもバカデカイ!見上げると首が痛くなり
  ます。僕はこうした権力的なモノに嫌悪感を覚える方なのでパス!買い物に夢中で写真を撮っ
  ていないんですが、この反対側にある模型店はよかったですよ。1階がおもちゃ屋で2階が鉄
  道模型専門です。安いし在庫が豊富。シーナリィ関係が特に良かったです。

 

  ウイーンの観光もそこそこに(それが目的でないし)、センメリンクの起点、グロニッツの宿に到着。

 

  やはり早起きしてグロニッツ駅まで散歩しました。駅の時計が6時15分をさしています!

 

  うん?ヘラクレス?そうなんです。材木をチキのような貨車に積んで出発するところでした。

 

  この先からセンメリング鉄道線の勾配が始まります。補機の機関車が待機しています。1044かな・・・

  ■センメリング鉄道(オーストリア政府観光局HPより)
      ウィーンから南へ、グラーツ方面の列車に乗って約80キロ行くと、グロニッツという山
      間の駅があり、ここからブラームスゆかりの地ミュルツツーシュラークまでの約40キロ
      の区間が「センメリング鉄道」、1854年に完成した世界で初の山岳鉄道です。
      近代的な土木機械もダイナマイトもなかった時代でありながら、6年という異例の短
      期間で完成し、現在もアルプス越えの最も重要な路線として知られています。現在、
      16のトンネルと16の高架橋があり、高架橋の一部は二層構造となっておりこの路線
      の目玉となっています。トンネルや構造物は自然の環境に調和するように造られてお
      り、美しい景観を見ながら ハイキングをしたり、のんびりと各駅停車の旅をするのも
      オーストリアならではの体験です。

      2008年特別プログラム:ノスタルジック電気機関車体験パッケージ、ウィーンからオー
      ストリア南部へ向かう最も美しいルート、「魔の山」センメリングを歴史的な鉄道で超え
      るタイムスリップ。

 

  早起きは三文の徳!すごいスピードで走り抜けた貨物です。1144を補機にして憧れのタウルス
  が〜これが初めて見たタウルスです。貨物は石灰でしょうか・・・

 

  ホテルに戻って朝ごはんを食べて、いよいよセンメリングの撮影です。最初の石積みアーチ橋の
  ある場所に到着。タウルスが通過。興奮はMAXです(笑)こう見えてかなりの勾配です。

 

  上の写真の先にあるアーチ橋。朝見たのと同じ編成の貨物が通過します。

 

  列車が来るたびに大興奮。でも5分位で次の列車が来るので驚きました。特別仕様のタウルスが
  牽くイタリアからの国際列車です。グレーに赤屋根はOBBですが、後ろにFS(イタリア国鉄)の客車
  が連結されていました。

 

  何本も走って来る中でも珍しかった機関車1044の旧塗装車。このクリームを使ったOBBが僕に
  は見慣れた塗り分けです。

 

  同じ1044の新塗装車です。同じ機関車でも塗り分けでこんなにイメージが違います。

 

  ディーゼル機関車2043が3重連で回送。もう少し手前に来てからがベストですが、デジカメの
  シャッターのタイムラグで失敗する事が多いです。

 

  この場所で何枚も撮影しました。興奮の度合いが分かるというものです。最後はタウルスの重連
  がトンネルに入ろうとするシーン。走行音など、スゴイ迫力でした。逆光なのが惜しい・・・

 

  それから、いよいよセンメリング鉄道のハイライト。カルテリンネ橋です。右のクリーム色の建物の
  所が駅で岩肌がむき出しの切り通しを抜けて、あの橋を渡り左上に登っていく半円形の線路配置。
  こうして山と山の間をクリアしていくのです。このレポートは、また次回!(次のページ)
                        
                         2009年3月7日記