On2 1/2で木曾森を!                                        No,2


                     ■ハンドスパイクの話

  

  何度か紹介した事のあるレールと犬釘と枕木の比較ボード(自作)と、にらめっこして、結局、
  CODE55を使う事にしました。作業軌道は6〜9kgレールの使用が多かったので、Onでは
  スケールに近い感じになります。CODE55レールには、スモールスパイクでも大きく感じます。
  下がマイクロスパイクです。

  

  下の合板に沿うように片側をハンドスパイクします。レールは極力、曲線に合うようにクセを
  付けておきます。綺麗な曲線になっていれば木工ボンドで仮留めが出来ます。これは木曾
  の模型では高名なI氏の技法です。I氏はCODE40をボンドで留めていました。片側の位置
  が決まったら、ゲージを測りながらもう片方のレールをスパイクしていきます。

 

  両側のレールが固定されたら、ガードレールを曲線の内側に這わせます。渡り板は1mm厚
  バルサを切り出して貼りました。着色はまだですが、ほぼ完成!チョックは1,5mm角材を
  3mm長に切り、斜めにレールに押し付け、頭を落とした犬釘で留めています。犬釘は基本
  的に全ての枕木に打ちました。5本間隔くらいで充分なのですが、やってみると犬釘がない
  部分が気になってしょうがありませんでした。

 

  作業軌道側のハンドスパイクを済ませ、ヤード側の外側のレールを打ち終えた状態です。
  ポイントを作ればハンドスパイクは終わりです。自己流ですがポイント製作の手順を書きま
  す。右側のカーブポイントは完成していますが、クロッシング部分に引っ掛かりがあるので
  そこだけ作り直しです。僕はポイント製作の鬼門はクロッシングだと思っています。

                        ■ポイントのハンドスパイク

  

  ポイント作りの最初は、外側のレール(主レール)のスパイクからです。右の写真は一応、
  スパイクを終えた状態です。左のケガキ線に合わせてハンドスパイクしたのを比較する為
  に並べました。ポイントの各名称が分かるように炭鉱鉄道でアップした図を載せておきます。

 

  ●ポイント製作の注意点など・・・

   

  写真では分かりにくいという事で、イラストを作成しました。リードレールの切り欠きとジョイナー
  の関係図です。篠原などのポイントを分解した事のある方は知っていますよね。こんな感じで
  す。トングレールが左右に振れた時に、切り欠きにジョイナーが入って、スムースに動くという
  仕組みです。それとクロッシング部分でひっかかると書きましたが、これは車輪のバックゲージ
  に関わる問題です。16,5mmのゲージを守ってもウイングレールやガードレールが狭かった
  りすると起る事です。HOnでの坊主岩モジュールで辛酸をなめました。クラブ運転では色々な
  車両が走るので余裕を持たせるべきでした。


 酒井5t(旧)     14,4mm
 酒井5t(新)     14,5mm
 パワトラ        14,8mm
 珊瑚運材       14,4mm
 オレカン運材    14,6mm
 長野型        14,3mm
 今回走らせる車両のバックゲージを測ってみました。
 狭いのが問題なのでオレカンの運材の14,3mmに
 合わせます。フランジウェイは1,1mmあればいいこ
 とになりますが、ギリギリだと内側が擦れますし、曲線
 では通過しません。200Rという条件から1,5mmに
 する事にしました。ガードレールにも適用されます。

  実際の作業で、フランジウェイの1,5mmをキープするのは、1,5mmプラ角材などを挟んで
  作ります。この数値はトングレールの幅にも適用されます。ポイントの入り口は13,5mm以
  下でなければ車輪が割り込む事になります。ポイント製作では、バックゲージを計算して作る
  事が重要です。以前は、理屈もなく、狭い方がリアルだと思って作っていました。何度かの失
  敗から学んだ事です。考えてみれば当たり前の話なんですけどね。

  

  最初にフログレールをスパイクします。下にある1,5mm幅(t=0,3mm)の真鍮板は、集
  電の為です。これには半田付けしておきます。ゲージが正しい事を確認したら、ウイングレー
  ルを作ります。一応、図面もありますが、全て現物合わせです。折り角など修正します。1,5
  mmのフランジウェイをキープして半田付けしてスパイクします。

  

  ウイングレールが決まったら先程の板にフログレールと一緒に半田付けします。その後にリー
  ドレールをスパイクします。絶縁ジョイナーなどは使わずに合わせているだけです。クロッシン
  グ部分は他と絶縁状態です。リードレールは主レールと1,5mm幅の真鍮板で半田付けしま
  す。ガードレールやチョックも追加して車輪がスムースに通るかテストします。テスターで通電
  のチェックもしておきます。画面の右にあるくの字のレールは失敗したウイングレールです。

  

  リードレールの端はジョイナーが首を振るように切り欠きをヤスっておきます。(上のイラストを
  参照)トングレールは、ともかく主レールにピッタリ収まるようにヤスリます。ジョイナーでリード
  レールと繋ぎ、スムースに動くかチェックします。レールの裏側(枕木とこすれる部分)も忘れず
  にヤスリ掛けしておかないと、ポイント切替え時に引っ掛かりが出ます。トングレールの端の
  頭も軽く丸めると車輪がポイントにスムースに入ります。

  

  トングレールの下に0,6mm真鍮丸棒を曲げて半田付けして、プラ材H鋼タイプで左右のトン
  グレールを繋ぎます。これで左右がそれぞれ絶縁されたままです。真鍮丸棒の片側は伸ばし
  てマシン用に端を丸めておきます。丸棒などを半田付けする場合、そのままだと強度的に劣
  るので精密丸ヤスリで図のようにします。主レールにもぐり込む部分を平らにするのは勿論
  です。こうしたちょっとした事が大事だと思います。位置決めも楽です。カーブポイントはスプリ
  ングポイントですが、こうした引込み線などは、ポイントマシンで切り替えます。Lemacoを使
  う予定で、クロッシング部分はマシンのリレーで切り替えます。一応、これで完成です。1時間
  位の作業です。他にもっといい方法があるのかもしれないのですが、僕が慣れている方法を
  ご紹介しました。DCCでもアナログでも使えるポイントです。ただ切り換わっていない方から
  入って来るとショートするのが難点です。これを防ぐには、DCCの場合、クロッシングにリバー
  ス回路を入れるという荒業があります。この場合、そのまま進入してきて、トングレール部分
  で脱線という本物と同じような事が起こります。それはそれで面白いかもしれません。アナロ
  グでは無電区間をクロッシングの先に設ける方法もあります。ポイントのリレーで給電。

  

  カーブポイントは一方通行なのでスプリングポイントにしました。都電レイアウトで採用したよう
  に、下にスプリング部分を設置すると後の調整に手間取りましたので、今回は写真のように上
  部に燐青銅線0.4mmで動作させました。トングレールの接触が不安定で1,5mm幅の板を
  補助接点としています。この方法は調整も簡単で確実に動いてくれるので、これからのレイア
  ウトにも採用したいと思っています。交換駅などにはうってつけです。燐青銅線はL字にして枕
  木に犬釘でとめています。L字にしないとクルっと回ってスプリングの効く方向が変わります。

   

  スパイクとポイント製作が終わった状態です。ちょっと試運転して困った問題が起きました。
  スプリングポイントなんですが、動力車は問題なくても、空運材台車は軽いせいで、スプリン
  グポイントを動かせず、脱線します。スプリングの燐青銅線を0,4mmから0,25mmに変え
  ましたが、結果は同じです。スプリングがない状態でトングレールは軽く動きます。首をひねっ
  てハタと気付きました。以前、自分が書いた原稿を思い出したのです。運動方向の違いによ
  る抵抗です。ヨーロッパの路面電車用ポイントのスプリングがすごく長かったのですが、これ
  を回避するためだったんですねえ。なんでこんなに長いんだろうと思ってました。

  

  聡明な皆さんは、この図をご覧になっただけで理解したと思います。スプリングが短くて接続の
  穴にアソビがないと抵抗になるのです。上記部分で自画自賛だっただけに情けないやら悔しい
  やら・・・解決方法はいくつかありますね。長くするのも手ですが、これ以上だと目立ちますし、
  カッコ悪いですよね。アソビを大きくするのもひとつですが、せっかくカチッと出来たポイントの各
  部分をユルユルにするのも嫌ですね。最悪はマシンで動作させるという手もありますが、折角
  なので新しい方法を考えて動作させてみます。

   上記してから色々と試行錯誤してみました。ケーディのスプリングを使ったりしてみましたが、
  好ましい動作は得られず、そんなこんなで最初に戻って、燐青銅線0,25mmで輪を作り、トン
  グレールからの動作棒(0,6mm真鍮丸棒)をL字にして挿し込み動作させてみたところ、抵抗
  なく動きました。結局、アソビを作りそれぞれの動きを逃がすという方法が一番でした。右図が
  最終形です。L字と輪を反対側にする事で解決したのでした。

 

  この写真がスプリングポイントの動作部分です。これだけ大きい写真でも0,25mmの燐青銅
  線は目立ちません。この結論を出す間にバラスト撒きを終え風景もかなり作り始めました。残り
  一ヶ月です。

 

  テスト走行中です。これから先の製作記事は祭りの後にさせてください。9月21日発売のとれ
  いんのサロン記事もお休みです。JAMで先輩の小泉さんに風景作りの事を色々と伺った時に
  「Oゲージは粉モノは使えない」という言葉が印象的でした。全くもってその通りでシルフロー
  やミニネイチャーを大量に使いそうです。(2009年9月2日)

                         ■祭りの後の作業

 

  軽便鉄道模型祭2009も無事終了しました。祭りの記念にと、初参加のモデル・ワムさんが
  以前からアナウンスしていたB型小型客車を発売しました。現在発売している岩崎レールの
  後期型の運材台車にクラシック・ストーリー製の上回りを組み合わせた魅力ある商品です。
  祭り後、3日くらいで完成していたのですが、フレームボルトの欠品があり、アップが遅くなり
  ました。折角の木製なので、長野ファーストレッドのベタ塗りではなく、褪色させて木の感じを
  残すように作りました。以前、モデルワーゲンのカブースで同様の仕上げをした事があります。

 
 
  モデルワーゲン製の木製カブース(HOn)です。模型を綺麗に作る人には許せない状態だと
  思うのですが、僕はこんな感じが大好きなんです。エージングの表現が上手く出来ているか
  は別問題ですけどね。こうしてみると、上のB客は汚しを押さえた方ですね。

  

  この製品、椅子や網棚などもキッチリ表現しています。この辺りがOnならではのデテール感
  です。値段が高め(¥36,750)ですが、内容を見ると納得の商品です。内装はクリーム色
  ではなく、ニス塗りの感じにしました。色を塗るんなら金属車両でいいですよね。写真の上に
  ぼやけて写っている下回りの組立てに苦労したのでレポートします。運材も同じです。

 

  ロストワックスのパーツは湯口をヤスリで仕上げた後、徹底的に洗います。パーツは韓国製
  でワックスが大量に付いています。そのままでは半田が流れません。それとパーツの穴など
  甘いのでモーターツールで丁寧に仕上げておきます。

 

  例えば朝顔の中、右が未加工で左が削ったものです。未加工のままでは連結リンクが入り
  ません。気付かないで組み立てて塗装までして、いざ連結しようとして泣きました。

 

  組み立てる順番は人それぞれですが、僕はブレーキシリンダーなどから半田付けします。
  朝顔連結器も半田付け。それで大変なのが緩衝器です。朝顔の後ろを平らにヤスってか
  ら、緩衝器の両脇のボルトを穴に入れて半田付けします。緩衝器の真ん中に穴を開けて
  朝顔の脚を半田付けする方が作業は増えますが、位置決めが簡単かもしれません。エア
  ホースは外れやすいのでガッチリと半田を流します。

 

  軸受をネジで留めながら車輪を入れます。埋まってる場合があるので注意します。ブレーキ
  シュウは片側だけ半田付けします。両方だと、後で分解出来なくなります。分解できないと車
  輪ごと塗装しなくてはいけなくなります。一緒に塗装すると転がりが悪くなるんですよ。

 

  運材台車の場合、精密チェーンは入っていますが、リングはないので自作します。0,6mmで
  作りました。フックは0,4mmです。台のビスもないので1mm真鍮丸棒で片側だけ半田付け
  しています。

 

  B客にはドローバーとかリンク、ピンなどが入っているので、写真の状態にします。転がりを
  良くするように気を付けます。

 

  完成した岩崎レール後期型運材台車です。キサゲがまだ完全には済んでいません。チェー
  ンは片側がスルー状態で、チェーン両端はS字フックで留めています。正しいかは疑問?
  このキットは、下準備ともいえる工作や加工をしっかりしないと組み上げが大変です。まあ
  ロストワックスの金属工作を存分に楽しめると思えば・・・・オレンジカンパニーの運材を組
  み立てた後だったので、特に感じた事でした。オレカンのキットは本当に簡単に作れました。

 

  オレカンの運材台車です。左が長野型で右が岩崎レール。Onを始めて運材がないないと
  大騒ぎしていたら、仲間の中部氏が譲ってくれました。涙また涙です。
 
 

  チェーンが分からないとお茶を濁していたら、KMCの仲間から写真付きで指摘がありました。
  このイラスト(デフォルメしてあります)状態です。仲間のメールでの説明をそのまま載せます。

  「運材のチェーンですが、1本ずつ両側のステークに繋がっていて、反対側は自動車のタイヤ
  チェーンのような接続フックになっています。回送時も積載時も相互に相手側チェーンの中間
  部に繋ぎます。尚、積車時もチェーンは原木の上にたるみ無く乗っているだけで「締め上げて」
  はいません。締め上げてしまうと原木を降ろす時に外しにくくなってしまうからです。ですから、
  台車間は丸太とステーク(腕木)のフリクション&連結棒で止まっていることになります。ステ
  ークに尖った爪が出ているのは、このフリクションを増やすためです。」
by U太

  う〜んタメになったねえ〜(もうすぐ中学生風に言う)直さなくっちゃいけません!写真はKMC
  のHPの桃介の所にあります。参考にしてください。
           http://kiso-mc.com/gaho/momosuke/momosuke.html

 

  現物の写真も拝借しました。こういう掛け方だからダブルになるんですね。HOnでは表現して
  も見えない部分ですが、Onなら結構目立ちますね。これと同じに作れば、空運材を積載運材
  に変えたり出来ます。ワムさん、B客の中間ドローバーを別売りしないかなあ・・・

 

  という訳で作ってみました。いやあ〜Oとは言え、かなり細かな作業ですよ。作るのはともかく
  本物のように引っ掛けるのが老眼にはツライ!(笑)相手のチェーンの穴に入る線は0,3mm
  以下ですから。最初、0,4mmで作って泣きました。

 

  付属のチェーンをそのまま半分にして使ったのが右側で、それぞれ2コマ減らしたのが左です。
  もう少し片側減らすと桃介の所にある運材みたいになります。

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