4時45分、気球ツアーのスタッフが迎えに来ました。朝日を見るツアーなので早朝なんです。
船着場に向かい西岸に渡ります。まだ真っ暗です。ナイルの水量の多さに驚きます。
西岸に渡って車で気球のあるところへ着きました。他の会社の気球も沢山ありました。
この気球は熱気球と呼ばれるもので、ご覧のようにバーナーでバルーン内の空気を暖めます。
東の空が明るくなってきました。大きな気球が立ち上がっていきます。シャッターチャンスはバー
ナーを吹いた時です。気球の中が明るくなります。バーナーは断続的ですから・・・
気球が起き上がるとみんなカゴに乗り込みます。定員10人位です。そういえば来る時に体重を
聞かれました。すでに気球は浮いているので10人前後のスタッフが押さえます。恐怖感はなくて
軽い興奮。写真でも伝わると思うのですが、とにかく美しいんです。
船長が乗り込みバーナー操作を始め「アラーアクバル」(神は偉大なり)と声を掛けると、スタッフ
が手を離します。フワーッと浮き上がっていきます。衝撃は全くなくて、いつ地面を離れたかも分
からないくらいです。この浮遊感はクセになりそうです。
すーっと上昇していきます。聞こえるのは時々開くバーナーの音と風の音だけです。不思議な
感覚です。鳥になったようです。右奥にナイルが見えました。前にも書きましたが、ナイルの傍
はグリーンベルトになっていて離れると砂漠になります。左の山向こうが王家の谷です。
上がったり下がったりしながら移動していきます。高さで風の向きが変わるので、それをとらえて
行きたい方向に向かうのです。グリーンベルトと砂漠の境界が良く分かります。
西の空にはお月様が浮かんでいます。右奥にハトシェプスト女王葬祭殿が見えます。すごい!
空が明るくなってきました。想像していたより、ずっと幻想的で思い切って良かったと思っています。
ラムセス3世葬祭殿の上をかなりの低空で飛行しました。この神殿も新王国時代のものです。
朝日が昇りそうなので再び上昇します。バーナーを噴くと、フワーッと上がっていきます。
ご来光!思わずかしわ手を打ちたくなりました。日本人ですねえ〜本当に綺麗な朝日でした。
ランディングは砂漠の方です。船長の腕によって随分と違う感じになるようです。風任せです。
着地も驚くほど静かに「トン」という感じでした。トラックで追走してきたスタッフが気球を畳みます。
カゴ(シップ?)をトラックに積んで、スタッフはお金を受け取っていました。日雇いなのかも!
僕らの船の船長さん。かなりのイケメンでした。ちょっとグッさんに似てる?ツアーはホテルのフ
ロントの人に紹介してもらって120USドルでした。ガイドブックでは200とか書かれていたので
大満足。高い安いは価値観の相違だと思うのですが、ともかく大満足でした。飛行時間40分。
ロバに乗ってやってきた近所の子供達。勿論、バクシーシ欲しさです。そういえば同乗者は仏人
5人、アメリカ人1人、中国人3人、日本人2人でした。中国のお一人が流暢な日本語で話しかけ
て来て驚きました。聞けば岡山大学に留学していたそうです。
気球ツアーの後、一度ホテルに戻って朝食を取り、チェックアウト。荷物を預けて再び西岸へ。
ホテルを出ると「TAXI?」とオヤジ達が集まってきます。カイロでもそうですが、こういう連中は
観光客をカモにしようと虎視眈々という目をしていますから、はっきり「ラーシュクラン」と答えま
す。ブラブラ船着場の方へ歩いていると若者が声をかけてきました。見るからに誠実そうな感じ
です。「西岸に渡るなら船があるよ」と。彼なら大丈夫だなあ〜と付いて行くことに、船の中で
「車があるから良かったら案内するけど」「いくらで?」さあ交渉の始まりです。彼は小遣い稼ぎ
の様子。「西岸の回るところの入場料込みで100ドル」という話で決着。西岸に着くと綺麗な
カローラが停まっていました。思わず「ラッキー」と思ったのです。
王家の谷はカメラ持ち込み禁止です。入り口のところで預けなければいけません。違反すると
かなりの罰金が加算されます。そういう訳で写真はありません。入場料が70EP(1400円)で
3ヶ所しか見れません。ツタンカーメンの墓は別料金(100EP)。トトメス3世、ラムセス1世と
4世の3ヶ所とツタンカーメン墓を見ました。170EP!1世の墓は壁画が素晴らしく、4世の墓
は大きな石棺がありました。トトメス3世のは記憶に残っていません。ツタンカーメンはミイラが
安置されています。残念なのは入り口にいる係員達がついて来て、やたらチップを要求する事
です。落ち着いて見ていられないんです。高くてもガイドが一緒の方がいいかも。
麓はヌビア人の村でアラバスターの細工が有名です。案内の彼が「見たい?」と聞いてくれました。
ツアーなら無理やり連れていかれるでしょうね。機械彫りが安いのですが、厚いんです。手彫りは
光が透けてアラバスターの美しい縞模様が見えます。
ハトシェプスト女王葬祭殿を下から見た所です。ここはカメラOKです。気球から見て感じたよりも
大きな建物です。ハトシェプストは夫であったトトメス2世の死後、息子の3世の摂政となり、後に
女王になります。エジプト史上初の女王でした。
王家の谷もそうでしたが、ここにも自動車トレインがあります。結構な距離を太陽に当たって歩き
熱中症になる観光客が多く運転されるようになったとか・・・
ここで古代エジプトの葬祭が行われた事を想像すると鳥肌がたちます。綺麗に修復されています。
この緩やかなスロープが結構キツイんです。葬祭殿の中にはヒエログリフもハッキリ残っています。
女王は通商を重視したらしく、壁画にはソマリアとの香料交易をしていた事などが記されているとか。
上からナイル方向を見ます。緑が海のようにも見えます。この後、バスが止まっている所にある
カフェでカルカデ(ハイビスカスジュース)を飲もうとしたら25EP!ここの入場料と同じ。カイロと
かでは1EPですよ〜いくら外国人観光客値段でもひど過ぎます。遺跡はお金が全て!(笑)
王妃の谷にも行きましたが、そこもカメラ持込禁止。王家の谷以上に管理人のチップ要求がうる
さく早々に切り上げました。日本円にすればたいした事ない金額なんだけど、普通のエジプト人
の生活を知っているから、なんか無性に腹がたちました。写真は気球からも見たラムセス3世
葬祭殿です。ここのレリーフは他よりも深くクッキリしています。
左に見える第一塔門の高さが22m!柱の横のヒエログリフの彫が深いのが分かります。
見事なヒエログリフの壁画です。太陽が当たらない所は劣化も少なくて色が残っています。ここは
静かに見れました。嬉しい〜こういう遺跡では本当に煩わしいのは嫌だなあ。
今まで見たどの遺跡(墓も含め)よりも色鮮やかにヒエログリフが残っています。意外によかった。
メムノンの巨像・・・西岸の最初のスポットになるので観光客がバスから一斉に降りてきます。
右の山の中腹にハトシェプスト女王葬祭殿が見えます。あんなに高い位置だったんですね。
巨像は2つ対で並んでいます。もともとここには新王国時代絶頂期のアメンホテプ3世の葬祭殿が
あったそうなんですが、後の王達が石材を自分達の材料にしてなくなったそうです。
メムノンの巨像の脇の畑でトラクターが掘り起こし鳥達が追っかけるシーンを見ました。種でもある
のかもしれません。白いのは鳥達。この後、案内の彼の家へ行き、家族を紹介され、お茶をごちそ
うになりました。こういう所がプロのガイドと違うところです。私は好きですけど・・・
お茶の後「ファルーカに乗りたい?」って言われ、二つ返事でお願いしました。案内君の友人が
持っているというので東岸に渡り乗り込みました。気持ちいい〜
今日は風があまりなく滑る様にという訳にはいかなかったのですが、それでも充分な走りです。
夕方になるにつれ凪状態に近づき進みません。予定ではあの先にある中州で夕陽を見ようと・・・
凪状態なので舵取りの真似事をさせてもらいました。少しですけど進んではいます。
流れとは逆という事もあって草をはむ牛よりも遅くなっていきました。牛歩とは良く言ったもんだ。
陽が傾き始めて皆んな大慌て!棒で漕いだり川中を突っついたり。「いいよ」という僕らを尻目に。
陽が傾き始めると何故あんなに早いんだろう。みんなあきらめ気分。この様子は大変のようですが、
笑いながらメチャ楽しんでいるんです。大変な事を楽しむスタンスは見習わなくっちゃ。
陽は沈んでしまいました。申し訳なさそうにする彼等に「メチャ楽しいから気にしないで」。それに
してもナイルの川中で見る夕陽は感動的でした。
空に一筋横に広がっているのが鳥です。昨日と同じように編隊を組んで北に飛んでいきました。
何千年も前から繰り返されてきた光景なのかもしれません。
船着場に戻ります。僕も漕ぎました。船長さんが「上手いなあ〜日本製は小型で高性能」と冗談。
井の頭公園のボートで鍛えているからね(笑)かっこいい船長さん。
普通、エジプトでこういう事があるとお金の支払いが発生するものですが、一切、請求されません
でした。案内君とはすでに友人のようになっていたからです。お金、お金というルクソールのイメー
ジが最後で払拭されました。観光客相手の人達はしょうがないんだと思ったのです。
ルクソール神殿の近くのオープンカフェで出発の時間までマッタリタイムです。馬車に乗れという
のを振り切る為でもありました。このカフェ、外国人が多くてビールもあります。それで値段が安い!
「終わりよければ全てよし」ルクソール滞在は楽しかった〜駅への道すがらモスクの横に月!
列車は定時になっても来ません。まあこんなのは当たり前。他の列車が着くたびに一人旅の欧米
人の女の子が「これじゃないよね」と不安そうに尋ねてきます。ドントウォーリーだよ〜
売り子が「シャーイ、シャーイ」と大声で叫んで皆が列車から降りて買いに来るんです。動き出して
初めて乗り込む光景。すさまじいパワーです。待ってる間もあきません。
定時より30分遅れ、まあこれくらいは遅延にならないのがエジプト。それよりアナウンスもないし
乗る場所も分からないので到着してからトランク引っ張って走る走る。最後まで楽しかったルクソ
ールの旅でした。そう思えたのも案内君のおかげです。シュクラン・ジャジーラン!
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