坊主岩操作場を作る

大鹿操作場からウグイ川線に入り、黒淵を抜けると谷のドンづまりにオメガ状の操
作場があります。そこでウグイ川線は180度折れてグングンと山の斜面を登って
いきます。この操作場はKMCの2級線規格の第一弾です。接続規格は1級線と同
じながら、なんとしてもPECOのレールで不満だったレールの佇まいを表現したい
と思っています。それはMEのCODE55を使ったハンドスパイクです。さあウマクい
くでしょうか・・・一般の公開は10月中野サンプラザです。

■アイデア・スケッチ

坊主岩はどん詰まりにあると書きま
した。でもKMCの規格に合わせる
為に上記のアイデアスケッチのよう
に考えました。仲間のアララギさんの
一言で考え直したものです。本線の
一部にしてここから二級線が分岐し
ていくという考えです。本物よりRも
勾配も緩くなっています。これは模
型でテストして決めました。Rは200
で勾配は7%です。MW社の酒井5
tが6両の空運材を引き上げる事が
できる範囲です。
注:仲間に指摘されて気づきましたが、ハンドスパイクが2級線の規格ではありません。これは僕個人が勝手に
するものです。接続はあくまで規格通りで作ります。レールもPECOを使うのがKMCの規格です。

■ポイントを作る(この数値に訂正があります→詳しくはこちら

ポイントを作るとなると大変と思いがち
ですが、思ってるほどではありません
し、第一に精度の高いポイントを作る
事ができます。難しいのはクロッシング
部分です。でも基板を使えば簡単です
よ。是非、一度トライしてみてください。
左図のように設計(図は300Rポイント
)してOHPシートに印刷コピーします。
左ポイントは裏面をコピーします。今回
はDCCにも対応したポイントです。
クロッシングはフランジウェイが正確に十字になるようにします。色々なHOナロー車輌のバ
ックゲージを計測して一番狭かったのは7,4mmでした。9−7,4=1,6。つまりフランジウ
ェイは0,8mm(12mmと奇しくも同じ)です。トングは7、2mm幅で問題ありません。さて、
DCC対応にするには赤は赤同士で通電させます。クロッシング部分はショートするので一般
には絶縁するのですが、HOナローのように集電の厳しい車輌は絶縁部分は設けたくありま
せん。そこで黒のクロッシング部分を絶縁して選択式で通電させます。アナログもOKです。
こうする事で、トングレールが狭くても、ショートしなくなります。
コピーした紙に直接、ゼリー状瞬着で枕木を並べます。半田する部分(固定したい)は基板
を貼ります。普通は5,6本に一本の間隔で大丈夫ですが、クロッシングのようにがっちりと
固定する場合は多めにします。フランジウェイは1mm基板をサンドペーパーでヤスリ、0,8
mm
にしたものをはさんで半田付けします。(写真の基板は12mm用で幅が少し広い)
各パーツを基板に半田付けして組み上げます。取り合えず形になりました。スルメ状態で
す。これをスパイクで固定して配線します。以下に組み上げの注意点を書きます。
■ポイントのポイント

脱線に関わる注意点は3つあります。
 ●ゲージを正確にとる(ノギスの内径を計る方を沿わせて
   調整する)
 ●クロッシング部分(フランジウェイを正確にとる)
 ●トングレールの密着、作動

■組み上げ順序
 @クロッシング部品を図面にそってレールを切り、ヤスリ
   をかける。
Aコピーした図面に枕木を並べる。半田する部分
 は基板を並べる。
Bクロッシング部品を半田付けする。三角部分を
 最初にして冶具で挟むように半田付けする。
Cトングレールを作る。極力薄くヤスるクロッシン
 グ側2箇所でとめる。今回のポイントはジョイント
 で動かすのではなく、レールのシナリでする。これが可能
 なのはCODE55以下のレール、マシンをモーター式にす
 る場合のみ。トングの先端、切り替え部分は右図のように
 L金具を作り、レール側は半田付け、取り付け側は基板を    7,2mm
 裏返ししてビス留め、または線材で半田付け。幅は7,2m    6mm
 mにする。電気的に分離する。
D外側のレールのトングレールが入り込む部分をヤスリ、ノ
 ギスを使い半田付けする。分岐側のレールはしごいて図面
 通りクセをつけておく。
Eクロッシングの先の内側レールを半田付けする。ここで全体のゲージを確認して半田
 付けを直しておく。問題ないなら0,5mmドリルで犬釘のガイド穴を開ける。特に基板。
F設置場所の切り替え部分を掘り下げてから、犬釘で固定していく。バスウッドもガイド
 穴を設ける方が失敗が少ない。モーターツールで基板を電気的に切り離し、ポイントマ
 シンを裏側から設置、配線して完成。

●ゲージはすべて9mmジャストにしましたが、クロッシング部分の後の分岐側は9,2m
 mくらいにする方がスムースに通過します。実はクラブで使っているPECOのレールは
 9mmジャストで曲線(220R)では抵抗が大きくなり、運材が長くなると・・・坊主岩の曲
 線は9,2〜9,4mmにして上の危惧が事実か確認したいと思っています。
 

■坊主岩のポイント

これがコピーして組み合わせてみた坊主岩のヤードです。本線に組み込む為に右側が
オリジナルとは違っています。左下の分岐はリバースです。こちらにもRポイントが1個
ありますから、全部で10個です。すべて可動させないかもしれませんが、製作は同じで
す。ヤードの線路間(中心から)は30mmです。本当は35mmは欲しかったのですが、
リバースで厳しくなるので我慢しました。このページを立ち上げてからメンバーに色々な
アドヴァイスを貰いました。クラブでの汎用性のありかたです。考えさせられる問題で、自
分勝手な行動すぎたと反省しています。でも今まで僕が作ったモジュール群は粗製濫造
の感が拭えず、自分では逆に欲求不満に陥っていました。「やった〜」という達成感がな
いのです。坊主岩はKMCでの最後のモジュールになるかもしれません。それでKMC内
や今まで培った自分の持てる技術をすべて注ぎ込んで作ってみようと考えたのです。そ
れはシェフの自己満足、自分勝手は充分承知しています。繋げられなくても作りたい欲求
は押さえる事が出来ませんでした。(だから僕は団体からはみでるんでしょうね・笑)
図面通りに切り出したシナ合板(モジュール作りにおすすめします)の裏に桟で補強を入
れて、最初に接続部分に35mmスペースを取り、切ったTOMIXレールを貼りました。そ
れに合わせて道床の高さを決めました。2,3mmでした。例のごとく2mmヒノキ板とTO
MIXの包装してある厚紙です。板は両面に水をかけて反らないようにしてからボンドで
接着してあります。コピーしたヤード設計図を貼り付け(これも霧吹き後に)枕木を並べて
いきます。ここで本物のデータのお話です。

●道床幅は1級線で260cm、2級線で200cm(坊主岩までは一級線なのでHOサイズ
  は29,8mm)僕は30mm幅のヒノキ板を並べました。厚さは1級線で260(2,98m
  m)、2級線が200mm(2,29mm)上記の2,3mmは妥当な線ですね。
●枕木は1級線が150×15×12cm(HO17、2××1、7×1,4mm)、2級線が140
  ×12×9cm(HO16,1×1,4×1mm)ですが、MEのHOn30の枕木が2,1幅×
  1,6mm厚なので、それに合わせて長さも21mm(レールとのバランスから)にしまし
  た。橋梁枕木は1級線200×20×18(HO22,9×2,3×2,1mm)2級線180×
  18×15(HO20,6×2,1×1,7mm)です。MEの枕木は両方に使えるようにして
  あるのか・・・偶然か・・・
●あまり語られない枕木の間隔ですが、標準枕木は60cm(HO6,9mm)、橋梁枕木は
  45cm(HO5,2mm)軌条継目は50cm(HO5,7mm)を越えないとなっています。模
  型的には標準で6〜8mm間隔、橋梁で5〜6mm間隔、ポイントで5mmといった感じで
  しょう。CODE55と言ってもレールのスケールも違うので、スケール通りにするとナロー
  の感じがでません。1級線で15kg/mレールです。CODE55は35kg/mレールに相当
  しますから・・・(CODE40で本線スケールですが、モジュール走行では支障がでます)
  昔、16番でCODE100の方が狭軌感がでるという話がありましたね、こうした模型的な
  アレンジはとても大事だと考えます。
●最後に1級線と2級線のおおまかな違いです。
  1級線・・・・5t以上の機関車が通行可能で軌条は10kg/m以上。
  2級線・・・・5t以下の機関車が通行可能で軌条は9kg/m以下。
   つまり、坊主岩から先にヤマバトとかC4が入線すると変という事ですが、模型的には
  面白い構図です。本物に捉われるあまり、楽しさを失ってしまってはいけないと、個人的
  に考えます。なんでもアリと言う訳でもありません。こだわる所は人それぞれです。

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注:クラブの2級線規格がほぼかたまり、坊主岩で50mmアップ、3,5%勾配になりました。

1mm

▲1mm

▲1mm                     ▲7mm

紫表示が訂正数値です。(2005、5)