On2 1/2で木曾森を! No.4
■風景作り
ヒムロ杉の枝を使ったヒノキを植林した山の感じです。この素材の利点は針葉樹としての佇まい
がイイ事と色が落ち着いている事です。乾燥させてあるのですが、乱暴な扱いでも葉があまり
落ちません。木の破損を恐れて後で挿すように考えていたのですが、これなら固定できます。
固定できると根元部分の表現が出来ます。植林したばかりの苗木にも使えそうです。
アーチスタ・フォルモと言う名前の製品名の石塑粘土で根元の表現をします。幹に塗ったのと
同じステインを塗ります。周囲に土とか苔を水溶液で固めます。ウエザリング(主に陰影)が済
んでいませんが、地面から丸棒が出ているのとはかなり雰囲気が違います。右の写真の左手
にヒムロ杉の枝を植えてみました。今まで使った中で一番苗木の感じが出ていると思います。
この3枚は近所の公園で撮影したものです。11月なのでかなり晩秋の雰囲気ですが、雑草が
邪魔しない分、目的のものが撮影できます。上は切り株とツタやシダの雰囲気。ジブリ美術館
が近いせいか、その世界ですね。下の二枚はツタが木を這う感じです。真っ直ぐに立ち上がっ
ているのが分かります。葉は太陽に広がるので「紙創り」のツタも起こすように貼るとリアルに
なると思います。
公園で撮影してきた写真を見ながら色々なデテールを加えているところです。シダとか笹は
「紙創り」です。ボンドが乾いたら、もう少しカーブを加えて自然な感じに直します。森の中は
色々な植物があるので単調にならないよう気をつけます。笹は密集させる方が効果が上が
ります。
近視眼的にズームでモノを作っていると、一体何を作っているのか分からなくなります(笑)
時々、車両を走らせたりして我に返ります。あくまでも主役は車両です。こいつを引き立て
る為に色々とやっているんです。ガラガラと山にコダマする運材の音が泣かせます。
上で笹と書きましたが、製品としては笹はなくて「メダケ・雌竹」です。メダケは川原とかで見か
けるお馴染の植物です。白黄の皮が残るので笹に分類されています。葉の形が正確にはちょ
っと違うんですが、密集させれば笹に見えるかなという感じです。この笹というのも「根曲がり
竹」というややこしい名前があります。笹と竹は仲間ということで・・・緑はディープグリーン(半
ツヤ)で塗り、白黄はハンブロール63(ツヤ消)を塗りました。
また公園の写真です。笹とシダはそれぞれがまとまっています。木の根元も参考になります。
■隈笹と根曲がり竹のこと (羅色の簡易軌道の時に勉強したメモが出てきました)
とても間違う事が多いのが笹の名前です。隈笹(熊笹は間違い)は、大型の笹で縁取りがある
(隈取り)ところが名前の由来です。原種は京都周辺で、北日本や北海道で見られるのは根曲が
り竹と呼ばれます。姫竹と呼ばれる細い筍が取れます。日本のブナ林では林床に大型のササ
類が密生することが多く、これがまとめてクマザサと言われることもあります。日本海側ではチ
シマザサ、太平洋側ではスズタケが一般的で、これが本当の名前です。熊笹と誤記し、そのイ
メージから誤解が一般的な名前として定着したようです。竹は中国伝来の植物ですが、笹は
日本固有のもので、欧米でもSASAと表記されます。そんな訳で日本人として正しい知識を持っ
ていたいものです。(上のメダケは東南アジアにも自生しています)
軌道の手前にも植林です。車両通過の邪魔になる枝を伐採した根元表現などをしました。枝
を差し込んで折ってから根元を石塑粘土で成形しました。手前に木が来ると奥行感がでます。
木が増えると影が多くなり、鬱蒼とした作業軌道の感じになっていきます。あと7本位の植林
が必要です。天賞堂のビデオ「助六谷」のイメージが頭から離れないんです。
「もう木の作り方はいらないよ」という声が聞こえてきそうですが、それだけ、いつも樹木作りに
悩んでいるという事なんです。No.3でも書いた針金細工の樹木にミニ・ネイチャーの「ブナの
枝葉・夏の盛りに」を使ってみました。ネット状に葉一枚ずつをくっ付けた製品でエリエイが販売
しているものです。製品はHO用です。
枝が広がった感じを簡単に表現できる上に、ハイライトで葉が一枚ずつに見えます。
もう少し広げるといいのかもしれませんが、意外に繊維が目立ちます。手前の爪楊枝はボンド
が乾くまでの支えです。使い方をもう少し研究する必要がありそうです。オランダフラワーの方
が結果がいいかもしれません。
オランダフラワーにNOCH社の葉の素を付けて、針金の木につけたものです。このレイアウト
は、まるで草木の実験場のようです。
■建物の話
建物の話をします。HOnと同じなんですが、更に細かく本物と同じ柱構造で作ります。写真は
機関庫です。2mmや3mmの角材で形を作り、1mm厚バルサを5mmの帯状に切り出して
下見板状に貼っていきます。重ねるのは1mmですから、外からは4mm幅の板になります。
本物の建物は柱を建ててから板を貼るのですが、模型は壁一枚づつ完成させて組み立てます。
4面が完成したら屋根の土台部分や梁などを補強していきます。斜めの補強材が機関庫らしさを
出してくれます。念のため機関車を置いて車輌接触限界が合っているかも確認です。
内側はこんな風になっています。ここまで来ると一気に工作の手がすすみます。完成が見えます。
屋根の梁をつけて着色すると、いかにもそれらしくなります。着色はステインのチーク色です。
ウエザリングをしながら細かなところを追加していきます。窓はプラ角材(0,5mm角&1mm角)
の貼り合わせです。方眼紙に窓の桟をケガキ、透明プラ板を貼り貼っていきます。接着剤は流し
込みタイプです。透明プラ板(TAMIYA製)だから出来る事です。観音開きの戸も作りました。問
い合わせで、雨樋はどうしたのかというのがありました。半丸プラ棒に1mmプラ丸棒を熱加工で
曲げたものです。柱には0,5mm幅の板で留めています。
蝶番は真鍮帯板と丸棒で作りました。美幌別のところで解説していますから、作り方はそちらを
参考にしてください。手前にグルッと開きますが、中には入っていかないようになっています。
●美幌別鉄道機関庫製作記 http://carthago.a.la9.jp/newpage271.htm
●軽田子鉄道機関庫製作記 http://carthago.a.la9.jp/newpage154.htm
詰所も機関庫と同様な作り方です。こちらは内装があるので内側に壁を追加しているだけです。
畳や襖、障子なども貼っています。Onは大きいから中が見えると思ったのですが意外に見え
ないので苦労が報われませんでした。LEDは普通のタイプを使っていますが、光拡散キャップ
を被せています。こうすることで昔の赤熱球の光が再現できます。
詰所の完成写真です。戸を開けて中が見えるようにしました。椅子などを外に出して大掃除して
いる風です。屋根にプラ成型品を安直に使いましたが、デテールのエッジがシャープでないので
なんか間が抜けています。そのうち、やり直したいところです。
植物もそうでしたが、建物もOnスケールではキッチリ作りこまないと嘘っぽくなります。まだまだ
修行が足りないです。そういう意味でもHOnはバランスの取れたスケールなんですねえ。ところ
で木曾を知る人は気付いたと思うのですが、この建物はモデルがありますから、一応書いておき
ます。機関庫:滝越、詰所:本谷、燃料庫:大鹿、「木曾谷の森林鉄道」をご覧ください。
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